アンダーワールド

アンダーワールド



Apple での予告編を見て楽しみにしていたが、劇場では見れなかった映画。やっとDVDで見た。


冒頭から濡れ髪のケイト・ベッキンセール登場〜。しかも飛び降りシーンっ!もう全てオーケーです。この映画はこれで全てです(笑)
吸血鬼が吸血鬼らしくないとか、狼男が猫っぽいとか、シナリオが陳腐とかは些細な事です。ケイト・ベッキンセールが着地後に見せる柔らかな動き、これだけ見れば満足なのです。これを萌えと呼ぶなら呼べっっ!私は困らん。

 数百年にわたって戦い続けてきた吸血鬼族と狼男族。そんな中、吸血鬼の女戦士セリーンは、狼男族がマイケルという人間の青年を執拗に追いかけていることに疑問を抱く。陰謀の匂いを嗅ぎ取ったセリーンは、狼男族同様、マイケルを追うが、やがてこのマイケルになぜか心惹かれていく。しかしマイケルがなんと狼男族の君主に噛まれてしまい……。

なんだこのあらすじは・・・こんな話だったっけ?


確かに好き嫌いの分かれる映画かもしれない。
純粋なバンパイヤ映画を見たい人やケイト・ベッキンセールに歴史的大河演技(なんか良く解らんが)をさせたい人にはお勧めできません。後、冒頭の1分のナレーションで現状の対立関係が把握出来なかった人もちょっと辛いかな。
でもマトリックスブレイド、ゴシックホラーやサイバーアクションが好きなら見るべきです。
恐らく東ヨーロッパで撮影されたと思われるゴシック建築の町並み、重苦しく降り注ぐ雨、薄暗い画面の中に煌めくレザーのテカリとマズルフラッシュ。
何故、吸血鬼と狼男が銃の乱射で生死を決めていくのかは触れてはいけない。(一応簡単な説明はしていたけど)これらのギミックは、瞬きをせずに銃を撃ち続けるケイト・ベッキンセールを見せる為なのだから(笑)
ちょっとボンデージが入ったレザーファッションもケイト・ベッキンセールの身体を覆うロングコートの動きを見せる為。決してマトリックスブレイドの真似ではないっ(断言)


でもね〜、正直に言うと・・・
ネタがネタだけにもっと見せ方とかを考えないと辛いよね。お約束に走るのなら、順序ってものがあるし。
原作はアメコミらしいけど、そのまんまやってしまっては今の目の肥えた設定オタクには物足りないし、ウリになるべきアクションやSFXもA級の水準には届かない。
大体、アンダーワールドの話を進めるにはその対比としてアッパーワールド(そう言うかは不明)の描写もしっかりとしなければ、闇の眷属の争いが単なる内輪もめにしか見えない。せめてマイケル(スコット・スピードマン)の職業を警官か何かにして狼男を撃たせて愕然とするぐらいのシーンは作るべきなんじゃないかな。
吸血鬼にももう一工夫欲しかった。闇に紛れて移動するとか霧に身をかえるとか・・・
冒頭の見せ場である地下鉄の銃撃戦も「BLOOD」の影響?って感じですしね。

それでいてこれは妖怪大戦争みたいなお伽話には終始しません。底に流れるのは実のところ旧ユーゴスラビア的な民族浄化思想という我々人類が21世紀になっても越えることの出来ない心の闇であり、つまりはかなり重たいテーマを抱えている作品といえます。観客はおそらくセリーンたち吸血鬼一族にどうしても肩入れしてこの物語を見始めるはずですが、それがまさにこの映画の製作者たちの思う壺であることだけ申し添えておきます。

いや、そんな仰々しく考えなくても・・・


愛すべきB級映画としてとても良い映画です。
ケイト・ベッキンセールの凛とした冷徹な美しさに溜息をつきましょう。
それ以上は求めてはいけません(笑)


・・・続編が出来るんだって。今度はA級と言える映画になって欲しいなぁ。
ケイト・ベッキンセールの新作は『ヴァン・ヘルシング』!あ〜、これも見たいっっ!