鋼の錬金術師 #50「死」

中になにかいる!


うわぁ…何を語れば良いやら。
先ずは扉の向こうって…ネタバレしても構いませんよね。どうせみんな見てるだろうし。
等価交換は実は存在しない。こちら側の人の死(霊子?)が錬成のエネルギーになってるって。
ヤバイよなぁ…このパターンは古くから使い古されて手垢が付いた常套手段だよ。「バスタード!」でも似たような事言ってたし、「さよなら銀河鉄道999」でも機械人間の生命維持の為にとかやってたよねぇ。大体ストーリーの根本の謎をパラレルワールド物に貶めてしまうってのは納得いかないんですが。
いや、作者(荒川氏)がハガレンってのはこうなんだと言ってしまえばそれまでの話で、別にパラレルワールド物が低級だなんて事は思いません。でも、このパラレルワールド物には既に先人達の名作が多く、ここに新たなアイデアを加えるのはかなり難しいのではないかと。折角創り上げてきた物語や世界を夢オチにしてしまうのと同等なのではないかと…。だったら最初からバイストン・ウェルのように異世界との繋がりや境を描いてしまった方が良かったのでは。
まあ、それよりも「何かを成す為には、同等の代価が必要」って理論体系が崩れる事の方がエドには大問題だったようで(笑)
等価交換ってのは、逆に言えば「努力(代価)を惜しまなければ、それなりのモノが手に入る」って事な筈が、現実にはそうじゃない。それをいくら錬金術が世界の根本原理だとしても15歳になるまで気が付かないってのは遅すぎじゃない?いくら少年漫画でもこれは遅すぎでしょう。
何か作者以外の所で(メディアミックス戦略っての?)シナリオの変更があったのではないかと疑ってしまうような展開です。


記憶を辿れば、少年誌(幼年誌?)コミックガンガンが創刊されたのは、まだスクエニが合併される前。当時ドラクエで一山当ててしまったエニックスがグループ系列の整備と角川を見習ってのメディア展開、そして税金対策の為に設立した雑誌。いや、雑誌とも言えないドラクエ一色の同人誌みたいなモノだったわけで、それが3〜4年前に販売部数が落ち込み、廃刊寸前になっていた事は想像するのも容易い。いつまでも小学生は小学生のままじゃないからね。
そこにスクエアとの合併。お互いの会社に大黒柱たる商品があったにしても、ゲームには流行廃りがあるのは誰もが考える。そこで、当時の企画部が考えたのが独占的に使える商品(ネタ)をメディアの底辺から拾い上げようって事で、その道具となったのが、コミックガンガンである。
元々商業的にはほとんど成功していないガンガンを、より採算度外視して若手アシスタントや同人系作家のために門戸を広げる方針をとった。その成果もあって、ガンガンは徐々に売り上げを伸ばしはじめた。ただ、ここでその購買層が変化していったのだが…。


ハガレンが関係してくるのはここからだ。
売り上げを上げてきたガンガンに颯爽と登場したのが、鋼の錬金術師の第一話。アンケートでも一位(3位?ソース不明)だったらしい。しかも後援者は20代女性を多く含んでいる。
これをスクエニが見逃すはずはない。物語的にも正当派な(展開的にね)少年漫画、キーワード的にも過去の名作とされている漫画同様のモノが含まれている。最近の表面的なサワリだけの漫画とは一線を画す事は誰の目にも明白だったという事だ。
すかさず、商品展開の第一優先として議出された。
そして放送日も決まらぬままに、アニメ放送用スタッフが選出*1され、キャスト等も決まったところで同時にゲーム制作スタート。そしてイベント告知。
今までにもこのような見切りがなかった訳ではない、しかし今回の展開は根本となる漫画に「本来の漫画の面白さ」といった説得力があった為、見事に狙いに嵌っていく。
独占的に展開するために、ここに大手アニメ制作を入れなかった事がスクエニの賢さだとおもう。アニプレックスを選んだのがその証拠だ。
そして本放送枠決定。ここでもスクエニに追い風が吹く、ガンダムSEEDの後番。コミックス購買層を考えればこれ以上の好条件は無い。枠決定の際に何やらの力が働いたのではないかと勘ぐってしまうぐらい。そして3〜4話目あたりからの視聴率の上昇。後は語る必要はない。
作品以外の部分でも露出を増やし、関連商品をここぞとばかりに販売していくその手法はスクエニにとってはもうお家芸と言えるほどの手慣れたものだ。


さて長々と書いてしまったが、ここにメディアミックスの弊害がでてくる。
この展開の中心となっているのがガンガン連載中の「鋼の錬金術師」なのは言うまでもないが、商品として考えた時の中心はコミックではないのである。作者がいくら頑張って声高に叫んでも、メディア展開されてしまった以上、その中心は商品価値が一番高くなるもの、つまり人々に露出・影響が一番高いモノである。今回の場合は本放送されているアニメ作品だ。
最近は原作とアニメが異なる展開をすることがファンの中に受け入れられてはいるが、規定のクール数で終結させる為の物語が商品を代表してしまうという、原作者にとっては歯痒い状態となってしまう。


冒頭で私が感じている不安を理解して頂けるでしょうか。
もう来年公開の劇場版も決定している現状、本放送終了後から劇場版までの間を埋めるための方策を企画側が考えない訳がないのです。
もし、その間を埋めるためにファンを引きずるような仕掛けをしているとしたら…
ハガレンは「大いなる駄作」となってしまう事でしょう。
アニメ版を楽しんでいる身としてはそんな事は無いと信じたい。


次回の予告が無いのでサブタイトルも解らず。
5時30分からってことは…
      … Σ(゜Д゜;) ま、まさか一時間スペシャル?

*1:プロダクションも含めて国内から、ここ重要(笑)